報告「女性支援新法」施行に向けて、女性相談支援センター強化への提案

 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(「女性支援新法」)の施行が4月に迫っています。 「女性支援新法」の理念である「女性の福祉・人権尊重・男女平等」に必要な施策を講ずるのは、国・地方自治体の責務であることが明記されています。女性が直面する困難は、社会構造に起因するものであり、決して自己責任にすり替えてはならないという認識から、支援は公的責任として行われるべきものであり、年代、国籍、障がいの有無、職業や社会的経験、文化的背景を問わないものとなりました。

 エンパワメントアフロッキーは、ジェンダートークの会、世界性の健康デーシンポジウムに続く第5弾として、1月14日に、「女性支援新法」の研修会を開きました。「当事者中心の多様な包括的支援」の中核となる、女性相談支援センターに必要な相談対応力の抜本的強化について、参加者32名とともに話し合うことができました。 

 司会は伏見正江さん(女性ヘルスエンパワメントネット代表・山梨県立大学名誉教授)にお願いし、パネリストは、佐々木由紀さん(元やまなし性暴力被害者支援センター長・公益社団法人被害者支援センターやまなし理事)、二星星さん(女性シェアハウス星の虹代表)、妊娠そうっとSOS山梨さん、山崎俊二さん(山梨外国人人権ネットワーク・オアシス事務局長)、望月理子(エンパワメントアフロッキー代表理事)の5人でした。

 生活困窮、若年女性、DV被害、性暴力被害、その他複合的な困難な問題を抱えている女性たちの意思を尊重しながら、民間団体がさまざまに支援していることを具体的に知ることができました。そのなかで、当事者の人権を尊重した支援が進まない、いくつもの壁も明確になりました。DV防止法等の法律や各種通達によって解決されている問題が放置されている部分もまだあるなかで、「女性支援新法」という画期的な法律が施行されることに、大きな期待を抱いています。

 集会では、「当事者中心の包括的支援の実現」に向けて、基本方針を堅持するための財源の確保を強く要望する声が多数あがりました。話し合いの中で提案されたおもな内容を下記にまとめました。

(1)女性相談支援センター(現女性相談所)の環境整備〈機能強化が果たせる施設の新設等〉

(2)相談支援強化に対応できる専門職確保と女性相談支援員の増員〈ジェンダーの視点に裏付けられた専門性のある女性相談支援員の確保・民間支援団体との人事交流等〉

(3)女性相談支援員の正規雇用等の処遇の改善〈安定した雇用条件の確保・女性相談支援員の公募制の導入等〉

(4)女性相談支援員の活動の強化〈土日夜間の対応・同行支援・SNS相談・個別の支援の強化・住居の確保や申請書類等における支援強化・支援メニューの提示・相談支援の流れの一覧等〉

(5)県内のすべての市に女性相談支援員を配置

(6)情報管理、支援記録や民間団体等との連携ICT導入支援

(7)女性支援のプラットフォーム構築

(8)教育啓発〈包括的性教育の実施・人権やジェンダー平等の啓発等〉

 私たちは、これからも新法についての研修会を開き、「当事者中心の包括的支援」が実現されるようにアドボカシー活動をしていきます。